Handel Festival Japan

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第7回 企画2 オラトリオ《メサイア》(HWV 56)全曲

1759年4月20日、ヘンデルはウェストミンスター・アビーに埋葬されました。その埋葬の日を記念し、ヘンデルの最高傑作《メサイア》しかも、1741年ヘンデル作曲時のオリジナル稿(初稿版)を全曲上演しました。ヘンデルは《メサイア》を上演する際、その時々の歌手の事情などに応じて、修正を加えており、生涯に一度も作曲当時のまま(初稿版)の演奏はしていません。現代における《メサイア》上演もほとんどダブリン初演版、ロンドン初演版、孤児養育院版などに依拠するか、指揮者の判断でそれらを適宜組み合わせた独自版によっています。HFJはヘンデルの最初のアイデアどおりの《メサイア》を上演しました。

主題

「没後250年記念フェスティバル」

日時

2009年4月20日(月)18:30開演

曲目

オラトリオ《メサイア》(HWV 56)1741年初稿版全曲

出演者

  • 松村萌子(S)
  • 波多野睦美(A)
  • 辻裕久(T)
  • 牧野正人(B)
  • キャノンズ・コンサート室内合唱団&管弦楽団
  • 三澤寿喜(指揮)

会場

浜離宮朝日ホール
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チケット

一般S=6500円 A=5500円 学生=3000円(当日のみ)
(支援会会員S=4500円 A=3800円)

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指揮者 三澤 寿喜からのメッセージ

今回の《メサイア》公演について

1 ヘンデル自身も演奏したことのない「1741年初稿版」
ヘンデルは1741年9月に《メサイア》を完成しますが、実際の上演の度に手を加えており、最初に完成したとおり(初稿)を自分では一度も演奏したことがありません。上演の度ごとの改訂は主に歌手の事情に配慮したものです。今回はそのような歌手事情の影響をまったく受けていない初稿をヘンデル理想の《メサイア》と位置づけ、再現するものです。これは世界的にもめったに演奏されることのない、貴重な演奏となります。

2 上演時期
《メサイア》はクリスマスの時期に演奏される習慣がありますが、これは19世紀以降、アメリカのボストンで始まった習慣で、ヘンデルの時代の習慣ではありません。ヘンデルは《メサイア》を含むオラトリオ作品をいつも四旬節(復活祭に至る2ヶ月弱の間)に上演していました。四旬節は年によって移動しますが、およそ2月~4月です。つまり、《メサイア》は今の季節こそ、演奏するのにも、聴くのにも、最もふさわしい時期なのです。

3 斬新な《メサイア》像の呈示:緊密な連続性をもつ劇的作品
《メサイア》は崇高で壮大なだけではなく、実に劇的な作品です。どの部分を取り出しても、周到な計算に基づく劇的効果に満ちています。中でも突出しているのは、第2部の受難の場面です。 この場面の劇的効果を浮き彫りにするためには、演奏において、ドラマの連続性を表現する必要があります。ひとつひとつのアリアや合唱をそれぞれ個別の、独立した楽曲と捉ええるのではなく、独立はしているけれども、実はそれらは緊密な連続性の中で連なっています。このことを実際の演奏では、曲間の「間」の取り方で表現していくつもりです。曲間は、ほとんど間を空けずに(専門用語ではアタッカと言います)、どんどん連続的に演奏するのです。こうすると、《メサイア》の受難の場面はなんとも迫真的で、劇的であることが分かります。その緊迫感に満ちた鋭い劇的効果は、バッハの《マタイ》や《ヨハネ》の比ではありません。なんと言ってもヘンデルは劇場の、そして激情の作曲家です。聴衆の心を鷲掴みにするような劇的演出は彼の最も得意とするところでした。どうか、これまでにない劇的な《メサイア》を会場にてお楽しみいただければ幸いです。

4 定評ある合唱団:キャノンズ・コンサート室内合唱団
4年前、私はヘンデル作品だけを専門とするプロの合唱団として、HFJ専属の「キャノンズ・コンサート室内合唱団」を創設しました。現在、団員は19名(6544)です。この規模もヘンデル時代にほぼ倣ったものです。2005年のデビュー当初から、英語の美しい発音、透明なハーモニー、俊敏な機動力と、小規模とは思えない充実した響きは、評論家諸氏からお褒めの言葉をいただいています。以下に、デビュー公演となったヘンデルの《ヘラクレスの選択》の公演評をご紹介します。
・ 「キャノンズ・コンサート室内合唱団は約20名の小編成ながら、豊かな声と明瞭な英語で充実した歌唱」
(山之内英明氏:『オン・ステージ』2006年2月3日)
・ 「特筆すべきは合唱で、美徳の従者たちの歌う最後の2曲で新鮮味に溢れた力強い歌唱を披露した」
(那須田務氏:『音楽の友』2006年3月号)

5 充実の独唱陣・管弦楽
もちろん、HFJ専属の古楽合奏団「キャノンズ・コンサート室内管弦楽団」も独唱陣も信頼するメンバーが揃っています。お馴染みの波多野睦美さん、辻裕久さん、牧野正人さんに加え、今回はソプラノに松村萌子さんをお迎えします。彼女の艶のある美しい音色は《メサイア》のソプラノ・ソロにピッタリです。ナチュラル・トランペットのソロは神代修さんです。第3部、バスのアリアのオブリガートは今から楽しみです。

250年前の4月20日はヘンデルがウェストミンスター・アビーに埋葬された日です。独唱、合唱、管弦楽もすべて私の最も信頼するメンバーにより、ヘンデル自身も演奏したことのない「初稿版」《メサイア》を彼の墓前に捧げたいと思います。

三澤 寿喜

メディア

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