活動記録
2022年7月11日
三澤寿喜
ヘンデル・フェスティバル・ジャパン実行委員長
去る5月15日、浜離宮朝日ホールにて、第18回ヘンデル・フェスティバル・ジャパン、世俗的オラトリオ《セメレ》公演が無事に、また成功裡に終了しました。
公演後2週間経過した時点でお客様、出演者、関係者の皆様から体調異常のご報告はお一人もありませんでした。コロナ禍での公演主催者としてまずはこのことを喜び、皆様のご協力に対して心から感謝申し上げます。
ただ、演奏そのものはコロナの影響がまったくなかった訳ではありません。舞台上の歌手や奏者のディスタンス規制のため、通常規模の管弦楽や合唱を編成することができませんでした。管弦楽では《セメレ》が本来必要とする2本ずつのオーボエとファゴットをそれぞれ1本ずつとせざるを得ませんでした。これまでHFJは作曲者に敬意を表して全曲ノーカット、オリジナル編成による演奏に拘ってきましたので、この2本の木管楽器の割愛は断腸の思いでした。合唱も編成を通常より数名減員せざるを得なかったばかりか、マスク使用での歌唱となってしまいました。
このようなハンディはありましたが、独唱、合唱、管弦楽、それにお客様が一体となって徐々に音楽ドラマを盛り上げ、最後は熱狂を巻き起こすことができました。演奏者とお客様が一体となった熱狂こそヘンデルの劇場娯楽作品の醍醐味です。
終演後のスタンディングオベーションは成功の証しでした。
公演後の演奏評でも絶賛されています:
長木誠司氏:朝日新聞2022年6月2日夕刊
「主役の隠岐彩夏が抜群の力を発揮」、「波多野睦美の衣の下の鎧的場面の狡猾さも巧み」、「辻裕久、中嶋俊晴、広瀬奈緒らによるハイレベルの歌唱が続いた。バロックの歌の饗宴とはまさにことのこと」
岸純信氏:音楽の友2022年7月号
「隠岐彩夏は潤いと初々しさ漲る美声の持ち主で、第3幕の大曲を余裕ある歌いぶりで披露」、「中嶋俊晴も難曲のアリアを圧倒的な勢いで歌い上げ、喝采を攫った」
今後準備ができ次第、HFJのユーチューブ・チャンネルにて《セメレ》公演の演奏動画を配信していく予定です。ご来場できなかった皆様も会場の興奮を共有していただければ嬉しく思います。
今回、コロナ禍での公演実施は興行的には大変厳しいものがあり、HFJは大きな痛手を被りました。今日現在(2022年7月初め)でも感染は収束するどころか、むしろ増加傾向にあり、7波の到来も囁かれ始めています。なかなか手強いコロナが今後どのように推移するかは相変わらず見通せず、このような状況下にあっては次の公演日程を決めることを躊躇してしまいます。《セメレ》がそうであったように、予定した公演を延期すると、その影響は主催者のみならず関係多方面に及び、それぞれがそれなりの痛手を被ることになります。次の大規模公演については様々な面において不安なく予定を組むことができる環境になるまで様子見とさせていただきます。いつも熱心にHFJを支えていただいているファンの皆様にはどうかご理解いただきますよう、よろしくお願い致します。
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演奏動画:隠岐彩夏 セメレのアリア “No, I’ll take no less than all in full excess!”
世俗的オラトリオ《セメレ》(HWV 58) 全曲
2022年5月15日(日)15:30開演 19:30終演予定
浜離宮朝日ホール
浜離宮朝日ホールへのアクセス »
本演奏会は好評のうちに終了しました。
セメレ:
隠岐彩夏(ソプラノ)
写真:Yuya Hanai
ジュピター:
辻裕久(テノール)
ジューノ&アイノ:
波多野睦美(アルト)
写真:HAL KUZUYA
アイリス:
広瀬奈緒(ソプラノ)
写真:Kohei Take
ソムナス:
牧野正人(バス)
カドマス:
酒井崇(バス)
アタマス:
中嶋俊晴
(カウンターテナー)
アポロ:
前田ヒロミツ(テノール)
指揮:
三澤寿喜
第1ヴァイオリン
川久保洋子(コンサートマスター)
池田梨枝子
保坂喬子
丸山韶
第2ヴァイオリン
廣海史帆
天野寿彦
高橋真二
ヴィオラ
伴野剛
中島由布良
チェロ
懸田貴嗣
高橋麻理子
コントラバス
諸岡典経
オーボエ
小花恭佳
ファゴット
長谷川太郎
ホルン
伴野涼介
藤田麻理絵
トランペット
内藤知裕
三澤徹
ティンパニ
村本寛太郎
チェンバロ
平野智美
オルガン
勝山雅世
アーチリュート
高本一郎
キャノンズ・コンサート室内合唱団
ソプラノ
小野綾子
千石史子
本宮廉子
吉澤有香
山崎千恵
アルト
奥野恵子
加形裕子
田中栄吉
宮﨑恵美子
テノール
福島康晴
前田ヒロミツ
遠藤貴之
バス
青木海斗
石井賢
井手守
大井哲也
助成: 公益財団法人朝日新聞文化財団 / 公益財団法人三菱UFJ信託芸術文化財団
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